昨今、ガラスコーティング膜には耐傷性や防汚性等の信頼性に加え、新たな機能性が要求されるようになってきました。現状の当社においては、ポリシラザンに拘ることなく、幅広いコーティング液/膜において、その組成や組織、そして構造をナノレベルで高度に調整/制御することにより、下記(1)〜(5)のコーティング技術の研究開発を推進しています。
(1)超親水性持続技術による長期セルフクリーニングの実現
(2)帯電防止(導電性付加)技術による静電気対策(防汚機能)
(3)付着した指紋や油脂が目立たない親油性技術
(4)優れた即効性と持続性を両立した抗ウイルス/抗菌/防カビ/消臭技術
(5)ナノバブル導入技術による新機能の発現
上記(1)では、コーティング膜の組成/組織及び構造を適切に設計・制御することにより水の接触角が10°以下の超親水性を発現するとともに、その長期持続性を達成します。
それにより、長期セルフクリーニングを実現し、屋外で使用される電車、自動車、飛行機等のボディ、太陽電池の表面、ビルの窓ガラス等へ展開します。
さらにガラスコーティング膜として大きな問題になり得るイオンデポジッドの発生に関してもその対策が施されています。
また、(2)では、ガラスコーティング膜中に導電性ナノ粒子を分散させ、⾼抵抗な導電パス(108~1011Ω/□)を形成することにより、静電気による塵や埃等の付着を抑制或いは防⽌します。
通常のガラスコーティング膜は、電気絶縁であるため、静電気による帯電が起こりやすく、塵や埃等が付着しやすいと⾔った問題があります。
このように付着した塵や埃等は、汚染の進行を加速させたり、汚れを簡単に落とすことができなくなります。
(3)では、ポリマーブラシ成分をガラスコーティング膜へ導入することにより、油の接触角を大幅に低減し(オレイン酸接触角≦20°)、親油性を向上させ付着した指紋や油脂を目立たなくします。
さらに水の接触角にも配慮し、親水性を向上させ、水洗いでも付着した指紋や油脂を落としやすくする工夫も行っています。
(4)では、多数の銀イオンや銅イオンをガラスコーティング膜中に導入し、これらのイオンの拡散速度を調整、制御することにより、優れた即効性と持続性を両立した抗ウイルス/抗菌/防カビ/消臭機能を発現できる可能性を見出しています。
抗ウイルス/抗菌機能の即効性は、30分以内、できれば10分以内の不活性化をめざしています。その持続性は、適用先とそのコストに配慮し最短3ヶ月、最長10年程度を検討中です。
幅広く社会貢献が可能なこと、また大きな事業展開も図れることから、共に協創可能なビジネスパートーを探索、募集しています。
(5)では、多数のナノバブルをガラスコーティング膜中に導入する技術を開発中です。
ナノバブルの導入によって、新たな光学特性や電気特性等の発現可能性を検討中です。